『火車』 宮部みゆき

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1987年、『我らが隣人の犯罪』で、オール読物推理小説新人賞を受賞して、
デビューした宮部みゆきは、ミステリーから時代小説、
ファンタジーやジュブナイルに至るまで、幅広い作風を持つ流行作家である。


中でも、初期の名作として誉れ高い1992年の、『火車』は、
直木賞候補になるとともに、山本周五郎賞を受賞した。


物語は、休職中の刑事が遠縁の男性に、
「婚約者の行方を捜して欲しい」と頼まれるところから始まる。


婚約者は突然自らの意思で失踪し、しかも徹底的に足取りを消していた。
一体何故、そこまで自分の存在を消さなければならなかったのか。


謎を解くカギは、カード会社の犠牲ともいうべき、
自己破産者の凄惨な人生に隠されていた――。


作者の、法律事務所での勤務経験が活かされた本作品は、
発表と同時に、各紙の書評で絶賛された。


バブル崩壊直後の日本を直視した作品であり、
消費者金融やカード破産などの多重債務問題が、
非常にタイムリーであったことや、


何よりも、生き急ぐ現代女性の姿を描いたことが、
女性からの共感を得て、ミステリーの新しい読者層の拡大に、
貢献したことは評価される。


賛否両論を呼んだラストの描き方は、
読み手によって大きく評価が分かれるかもしれない。作


中に出てくる弁護士のモデルは、ヤミ金問題で有名で、
後に、東京都知事候補になった、宇都宮健児である。


2度テレビドラマ化され、韓国で映画化されるなど、
根強い人気を誇る本作は、今なお多くの読者を魅了している。





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