『獄門島』 横溝正史

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名探偵、『金田一耕助】を生み出した横溝正史は、
戦後探偵小説界のエースであったが、本格的にその名が知られたのは、
作家生活も、晩年になってからのことだった。


1970年代後半に、海外映画、『エクソシスト』など、オカルト映画が流行し、
ブームになった頃、横溝のインパクトの強い作風に目を付けた、
角川春樹が、角川映画の柱として、横溝作品を映画化したのが、きっかけである。


第一弾として製作された、『犬神家の一族』は、1976年公開当時、
20億円を超える大ヒットを記録した。


その横溝正史の作品で、今も日本推理小説史上最高の名作として、
誉れ高いのが、『獄門島』である。


物語は、終戦から1年経ったある日、金田一耕助は引き上げ船内で死んだ、
友人の手紙を届けるため、獄門島に向かう。


封建的な因習の残る獄門島では、島の元締めである鬼頭家が、
本家と分家に分かれ対立していた。


金田一が島に着いたその日を境に、凄惨な連続殺人が巻き起こる。
俳句屏風に隠された謎とは――。


本作は、ヴァン・ダイン、『僧正殺人事件』や、
アガサ・クリスティ、『そして誰もいなくなった』における、
いわゆる、”童謡見立て殺人” に触発されて、書かれたものだ。


単なる見立てではなく、”操り” の要素を取り入れていることが、
作品に深みを与え、人間の業というものを、際立たせている。


後世の推理作家に、多大な影響を与えたミステリーの、金字塔と言える、
この作品は、1977年に映画化されている。


小説と映画の犯人の違いを見比べるのも、一つの楽しみである。





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